アメリカの事例から学ぶ!災害対応に役立つサインの落とし穴
- 渡邉俊幸
- 4月14日
- 読了時間: 2分
こんにちは。渡邉俊幸です。
先月、アメリカで開催されたリスク/クライシスコミュニケーションの国際会議に参加した際、会場となった大学構内でこのような張り紙を見かけました。張り出してあったのは3Dプリンターが設置してある部屋の入り口付近で、廊下から見える場所です。

その張り紙には、リスクや安全対策がピクトグラムで簡潔にまとめられていました。ただ、一番目立つ赤・青・黄・白の図だけは謎のままで、意味を示す凡例も見当たりません。施設管理のスタッフに尋ねても「これは本当は自分が分かっていなきゃいけないのに…!」と悔しがるばかりで、結局その場では分からず、私はとりあえず写真だけ撮っておくことにしました。

しかしまだ気になっていたので後日調べたところ、これは全米防火協会(NFPA)の規格に基づいたサインだということがわかりました。

これはNFPA 704 ダイヤモンドとして知られる危険物の識別ラベルとのことで、化学薬品の緊急時対応のために、健康への危険性(青色のHealth)・引火性(赤色のFlammability)・反応性/不安定性(黄色のInstability)の3つを軸に「0〜4」の5段階で危険度を数値化したものだそうです。白色のSpecialのところにも意味があり、例えばWに取り消し線が入っている形で表示されている場合は、水と反応するので放水厳禁であることを伝えています。
領域 | 色 | 意味 | 数値の範囲と説明 |
左 | 青 | 健康への危険性 | 0(最小)~4(致命的) |
上 | 赤 | 引火性 | 0(燃えない)~4(常温で着火) |
右 | 黄 | 反応性/不安定性 | 0(安定)~4(容易に爆発) |
下 | 白 | 特別注意事項 | W(水と反応)、OX(酸化剤)、SA(窒息性)などの記号表記 |
この情報があれば、化学物質の扱いに詳しくない人や火災や救助などで駆けつけた消防隊でもすぐに化学物質にあった対応ができる仕組みで、非常に優れているものです。
ただ、この情報も改善できる点があると思いました。
それは、色と数字の意味が分かってなければせっかくの情報も利用できないという点です。例えば、数字や記号、色のところに文字も使って意味する内容を補足しておくだけで、ずいぶん分かりやすさが変わってきます。
災害時の対応に役立つ仕組みがあっても、伝え方に課題があるとその力を十分に発揮できません。 避難情報を伝える立場としても、こうした「分かっている人にしか伝わらない表示」は他人事ではないと感じました。
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