AIチャットボットに必要なのは“心理学”─防災・避難支援にも応用できる話
- 渡邉俊幸
- 5月17日
- 読了時間: 2分
こんにちは、渡邉俊幸です。
最近、こんな記事を読みました。「AIチャットボットの利用者満足度を上げるには、技術ではなく心理学が必要だ」という内容で、とても興味深かったので、印象に残ったポイントをメモ代わりにまとめておきます。
技術ではなく“人の心理”がカギ
企業の問い合わせ対応などに使われているAIチャットボット。近年ではChatGPTなどの高性能モデルが話題ですが、「どれだけ自然に会話できても、ユーザーが満足するとは限らない」というのがその記事の主張でした。
実際、記事によれば:
77%の人がチャットボットにフラストレーションを感じている
88%が人間のオペレーターの方を好む
しかし、AIが「常に学習している」と伝えると、信頼度が最大17%アップする
「24時間対応」などの利点を明示すると、満足度が37%アップすることも
特に面白いと思ったのが、「顧客の感情状態に応じて、チャットボットの振る舞いも変えるべき」という点です。
例えば、怒っていたり急いでいたりする顧客に対しては、共感的な対応よりも、迅速・明確・簡潔な返答の方が満足度が高くなるそうです。逆に、良いニュース(返金・アップグレードなど)を伝えるときは、人間らしい言葉づかいやトーンの方が喜ばれるとのこと。
この話を読んで、「AIチャットボットの機能・精度向上」ばかりが語られがちな中、心理面が実は肝心だと感じました。
「防災チャットボット」でも心理学は重要
人の心理からチャットボットをデザインしていくアプローチは、災害情報の伝達の面でも重要になると思います。
たとえば災害時、避難すべきか迷っている人にとって必要なのは、単に「避難してください」と言われることではありません。
海外の研究では、以下のような要素が避難行動を促す上で重要だとされています:
どのような被害が想定されるか(具体的な危険)
避難しない場合に起こり得る不利益
いつまでに、具体的にどういった行動をとるべきか など
単に「避難してください」とチャットボットが答えるのではなく、理由・リスク・期限・行動の具体性などを含めてしっかりと伝えることで、避難率は大きく向上していくはずです。
AIチャットボットは単なる問い合わせ対応の道具ではなく、人の心理に働きかけるよう設計すべきフェーズに入っているのかもしれません。
防災・避難の分野でも、こうした観点からの開発が促進されていく必要があります。