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津波注意報だけなのに全部出たみたいに見える?―自動配信で生まれた“情報の分かりにくさ”

  • 執筆者の写真: 渡邉俊幸
    渡邉俊幸
  • 4月17日
  • 読了時間: 3分

更新日:4月18日


こんにちは、渡邉俊幸です。


今回は、津波注意報が出たときにX(旧Twitter)やウェブで流れた自動配信の情報が、なぜ分かりづらく見えたのか? という点を分析してみます。


実際の表示を見ながら、「なぜこういうことが起こるのか」「どうすれば改善できるのか」を考えてみましょう。


実際に表示された災害情報

2023年12月2日、静岡県熱海市に「津波注意報」が発表された際、地元テレビ局・静岡新聞SBSのウェブサイトとXに自動で以下の情報が掲載されました。


ウェブサイトの「見出し文」と「災害名の表示」に注目してください。


見出し文は、「熱海市:(実災害)津波注意報、津波警報、大津波警報 2023/12/02 避難情報 発令」、災害名は、「(実災害)津波注意報、津波警報、大津波警報 2023/12/02」となっています。


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Xの方ではどうでしょうか?


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ここでも同じように、「(実災害)津波注意報、津波警報、大津波警報 2023/12/02 避難情報発令」とあります。


問題点:出ていない情報まで並べてしまっている

これらの表示を見ると、実際に出ているのは「津波注意報」のみなのに、あたかも「津波警報」や「大津波警報」も同時に出ているように見えます。


特に見出し文での「津波注意報、津波警報、大津波警報」という並列表示が、その印象を強めています。


なぜこんな表示になったのか?

放送局のウェブサイトには、自治体からの災害情報を集約しメディア等が利用できるLアラートの情報を掲載しているとの説明がついています。


Lアラートを活用して自動配信する仕組みは、情報を素早く届けるうえで有効です。


しかし情報の見せ方”に対する工夫が足りないと、かえって誤解を生むことになります。


どうすればよかったのか?

津波注意報の場合は海岸沿いや河口付近、津波警報や大津波警報(津波警報のレベルよりも津波が高くより破壊的なもの)は居住域への影響が出てくるなど情報の質や伝えている危険性が大きく違うものです。


このため、見出し文の


「(実災害)津波注意報、津波警報、大津波警報 2023/12/02 避難情報発令」


という表示はやめ、


「【避難情報】熱海市:津波注意報が発表 海岸付近から避難」


といったタイトルが出るようにしてあった方が、何倍も分かりやすいのです。


また、「実災害」という表現も、「訓練ではない」という意味だと推測されますが、普段から馴染みのある言葉ではありません。削除したほうが自然です。


自動配信システムは便利。でも…

災害情報の自動配信は、素早く情報を届けるためにとても有効です。しかし、

  • 出ていない情報まで並べず、「実際に出た情報」だけを表示する

  • 端的で誤解のない表現にする

といった配慮がなければ、かえって混乱を生むリスクがあります。


最後に:あなたの地域ではどうでしょうか

あなたの自治体の自動配信システムや報道の見出しは、同じような問題を抱えていませんか?「一見便利に見えるけれど、実は伝わっていない」という場面に気づくことが、情報の質を高める第一歩になります。



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