「災害情報ポータル」が使いにくい理由と、その解決策
- 渡邉俊幸
- 4月16日
- 読了時間: 4分
こんにちは、渡邉俊幸です。
災害発生時の利用や平常時からのコミュニケーション用に都道府県や市町村が特設の「災害情報ポータル」を立ち上げることが増えてきました。これは災害に関するさまざまな情報を一つのページにまとめたもので、いわば「ダッシュボード」のような存在です。

一見すると、必要な情報がすべてそろっていて「とても便利そう」です。
ところが実際には「どこに何が書いてあるのかわからない」「結局、自分はどうすればいいのかが見えない」と利用者に感じさせてしまうことがあるのでは、というのが今日のテーマです。
今回の記事ではそんな災害情報ポータルの「惜しいところ」と、改善のヒントをお伝えします。
自治体の災害情報ポータルで掲載されていること
多くの災害情報ポータルでは、以下のような情報が掲載されています。
避難情報(避難指示・避難所の開設状況・避難者の人数など)
注意報・警報の発表状況
気象レーダーによる雨雲の動き
河川の水位
電気・ガス・水道といったライフラインへのリンク集
道路や鉄道の通行・運行情報へのリンク集
これらを1か所にまとめることで、検索の手間が省けるのは確かに大きな利点です。
でも、それだけでは“食べられない”
ただし、情報が集まっている=使える情報とは限りません。
例えるなら、各種情報は食材です。
今のポータルサイトは、食材をきれいにお皿に並べただけの状態に近いのです。料理されていなければ、食べられませんよね。
災害情報も同じです。
情報の重要性や意味、読み取り方が分からなければ、住民にとっては「使いにくい情報」のままです。
利用者に寄り添うナビゲーションの工夫を
例えば同じ情報集約型のポータルサイトであっても、以下のような案内がトップページの目立つ場所につけられていたら、印象も行動も大きく変わります。
いま、何が起こっているか
いま何を見てほしいか(その理由)
どの情報が特に重要か
どの地域にとって特に関係があるのか
今後、何が起こりそうか
いま、取るべき行動は何か
こうした点についての説明が組み込まれると、住民の「分からない」「動けない」を減らすことができます。
大雨時のナビゲーションの例
こうした点が含まれる「ナビゲーション」の例は、大雨を例にすると次のようなものです。
現在の状況
昨日からの雨の影響で、○○川の水位が上昇し、氾濫の危険が高まっています。特に注意が必要です。
想定される被害
○○川が氾濫した場合、○○市・○○町・○○村など川沿いの地域で、最大○mの浸水が想定されています。お住まいの地域での浸水の深さは、以下のハザードマップで確認できます:
👉 [ハザードマップを見る(URL)]
川の水位・予測情報
現在の○○川の水位は、以下のページでリアルタイムに確認できます:
👉 [水位情報(URL)]
また、水位の予測はこちらでご確認ください:
👉 [○○川指定河川洪水予報(URL)]
○月○日○時○分の情報によると、○時ごろには○○地点で氾濫の危険水位を超える可能性があります。
取るべき行動
該当地域にお住まいの方は、遅くとも○時までに避難を完了させてください。
現在開設されている避難場所はこちらから確認できます:
👉 [避難場所一覧(URL)]
導入部にこうした説明がないと、情報の羅列だけが続くページとして受け止められて、使い勝手が悪くなると私は考えます。
まとめ
災害情報は「集約だけすれば便利」というわけではありません。
情報をただ集めて終わるのではなく、それを「意味ある情報」に変えていくことが、これからの自治体には求められています。
次の災害が来る前に、少しでも「読みやすく」「行動しやすい」ポータルへと進化させていきませんか?
それは小さな改善ですが、確実に命を守る力になるはずです。
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